リピート

私は気に入った本を繰り返し読む。最後のページを見終わったらその次には最初のページに戻るのだ。特に気に入ったものなら連続で10回以上読み返すことも珍しくない。さすがに専門書とかはかなり長い周期になる。この習慣がいつから始まったのかはもはや覚えていないが、悪くないやりかただと思う。読むたびに何か新しい発見がある。(コストパフォーマンスも良い)
シュレジンガーの猫の話では「観測されなければ状態が確定しない」と言われている。一般的な感性に従うならば観測の度に違う状態を持つ本があれば自分が変わったのだと考える。しかしそれは本当だろうか?変わり続ける自分と同じように、本の内容が変わり続けているかもしれない。そもそも本の内容というのは何か?文字や図といった形式的なものだけでなく、そこに表される意味を本の内容の一部だと考えるならば、意味の捉え方が変わることは本の内容が変わることを意味するのである。
とても簡単な内容だと思えても一度読めばそれで全て(あるいはほとんど)を理解したと思うべきではない。観測者が変化し続けるからには何度読んでも新しいはずだから。