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体感時間

10年ちょっと前に大流行したアニメがあった。当時は関連したファン小説が多数公開されていたものだ。インターネットが普及しかけた時期であり、公開することについて敷居が低くなったことも一因だろう。書きさえすればあとは大して手間が要るものでもない。適当なサーバにアップロードすればそれでおしまい。
そういったファン小説の大半は自己満足以上のものではなかったが、中には私が気に入ったものもあった。そのひとつをあらためて読んでみると、アニメのストーリー終了時点から10年後という設定になっていた。ちょうどリアルでも同じくらいの時間過ぎていることに気付き感慨を覚えた。
10年というとそう短くもない時間である。例えば、義務教育である小中学校を合せても9年しかない。それよりも長い時間が過ぎているというのがどうにも感覚的に納得できないのである。年をとると時間がたつのが早いというのはよく聞くが、このペースで加速していったらそりゃ人生は短いよなぁと思う。
年をとると生活が単調になるし、子供の頃ほどは感動を覚えることが少なくなる、つまり刺激が少なくなるので時間の流れが速く感じるのだと、以前にNHKの何かの番組で説明していたのを見た。要するに時間相応に中身が詰まっていないということである。退屈な時間は後に残る記憶がないので後になってみれば時間ばかりが過ぎてしまったように感じられるのだろう。
楽しいことははやく過ぎると言うが、それはそのときそう感じているだけだ。中身が詰まった人生にすることで体感時間では長く生きることになるのだ。漫画「さよなら絶望先生」の第六十話「銀の時差」にて「夏休みを楽しく過ごすとあっという間に終わってしまうのです!」という主張に違和感を感じたのだが、それは実際に過ごしている時間と後になって思う時間とを一緒に扱っているためだということが分かった。
退屈に過ごしたっていいことないよ!
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