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ずるい人工知能

時空の覇者 Sa・Ga3」というゲームボーイ用のソフトがある。 ゲームシステムは特に目立ったところのないよくある RPG で、戦闘システムはターン制である。 ターン制というのは、味方全員がどう行動するかを入力してから敵味方双方が素早い順に実際の行動を開始するという方式だ。 行動の入力を終えたら都合が悪くてももう変更することは出来ない。

このゲームの戦闘ではプレイヤが行動を入力せずに「おまかせ」というモードを選択することも出来る。 このとき、ソフト内の人工知能が判断して行動するわけだが、ターンの最初に行動を決定しているのではなく、各キャラクタが実際に行動するときになって判断しているらしい挙動が見られる。 仲間のひとりが毒を受けたのをそのターンが終えない内に別の仲間が回復させるといった動きをするのだ。 事前に考えて行動を入力するプレイヤからすればおまかせモードの人口知能に対してずるいと感じても仕方がないだろう。

他にも落ち物パズルとして有名な「ぷよぷよ」では敵の人工知能が落ちてくるぷよを都合に合わせて色を決定しているという例は有名だ。 もちろんプレイヤは落ちてくるぷよの色を変えたり出来ないのだから対戦条件としては不公平である。

とはいうものの、プレイヤの肩代わりをする人工知能があからさまに馬鹿で弱ければプレイヤとしては不満であるし、敵に張合いがなくてもそれはそれで不満を感じるだろう。 結果的にそれほど不満がないように釣り合いを調整できていることを考えればこれはこれで悪くない選択なのかもしれない。 もちろん、人間並の判断が出来る人工知能が公平な条件で動くことが出来ればそれに越したことはないのだが、そこまで作り込むコストはかけられないだろうし、機械の計算能力の上限によってどうしても制限されてしまうことは仕方がない。 こういったゲームにおいて人工知能はずるくてもよいという割切ったデザインが選択肢としてあるということは興味深いと思う。

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