幸福ゲーム

片山憲太郎ライトノベル電波的な彼女」の第3巻「幸福ゲーム」を読んだ。このシリーズはライトノベルにありがちなファンタジーやSFではない。超自然的なことも起こらない上にダークな展開が多いサスペンスもの。今回は「幸福の総量は一定である」との思想に基づいてまわりの幸福を潰していく集団と敵対する。
このシリーズのテーマは「価値観」なんではなかろうか。主人公に服従を誓う女、堕花雨は電波な腐女子でかなり常識から浮いているが、他の主要な登場人物もかなりイカレていて独自の価値観を主張している。そしてイカレた奴が起こす事件に毎回のように巻き込まれる。結果的に同行することはあってもそれぞれがそれぞれの考えに基づいて行動するワケだ。私は少年マンガによくあるような全員が一丸となるような状況が不自然に見えてしかたがなく、多様な価値観を許容する世界観こそが本来であると考えている。
価値観や幸福は結局のところ、人それぞれということに落着かざるを得ない。だから私は自分の価値観に従って生きるが、それ以外の価値観があることを忘れない。時には間違っていることが正しいこともある。と、いうよりも評価はその環境に於いて行なわれるものであり、絶対的な意味での正しさは無いというのが私の持論だ。(この「環境」と「評価」という言葉はLispで使われる意味からの転用である。)

電波的な彼女 ~幸福ゲーム~ (スーパーダッシュ文庫)

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