扉の外

ライトノベル「扉の外」を読んだ。レビューもあらすじも見ずに買ったのは久しぶりだがアタリだったようだ。気に入った。
高校生1学年分全員が唐突にシェルターに収容された中で、強制的に展開していくゲームの緊迫感がよく描かれている。第1巻では突然の状況に戸惑ったり、人間関係が変っていく様に重点が置かれていたようだ。格子状のフィールドの上で駒を動かして他の組と争う部分はかなり大まかに優勢劣勢を述べているだけでストーリーとの絡みが少ないように思えた。
それに対し第2巻で展開されるゲームは3種類だけのカードで争うジャンケンのようなシンプルなゲームになっている。どの種類のカードで勝つかによって得られる得点が違ったり、1種類のカードだけがレアカードになっているという舞台設定によってまるで「囚人のジレンマ」のような状況にしている点が特に興味深い。ゲーム部分と人間関係の描写が密接に関係してくるような構成になっている点で第1巻よりもずっとよく出来た作りだ。また、ゲームがより大きなゲームの一部になっているかのような伏線もある。突然の状況の謎について言及するような場面もあり、シリーズ物としての構成を意識している様子がうかがえる。
今後の巻にも期待。

扉の外 (電撃文庫)

扉の外 (電撃文庫)


扉の外〈2〉 (電撃文庫)

扉の外〈2〉 (電撃文庫)


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