Scheme で最速の Fizz Buzz を

プログラマの最低限の能力を測る試験として Fizz Buzz という問題が知られている。

基本的には 1 から 100 までの数値を表示するのだが、

  • 数値が 3 で割りきれるときは数値のかわりに Fizz と表示する
  • 数値が 5 で割りきれるときは数値のかわりに Buzz と表示する
  • 数値が 3 と 5 の両方で割りきれるとき (つまり 3 と 5 の最小公倍数である 15 で割りきれるとき) は数値のかわりに FizzBuzz と表示する

という規則を実現するプログラムを書くというものだ。

しばしば技巧的な要素を盛り込んで遊ぶ題材としても用いられる。

これを Common Lisp でなるべく高速に処理しようと試みている記事を先日読んだ。

要するに、実行するよりも前に文字列を組み立てておき、実行時には構築済みの文字列を表示するだけというメカニズムである。

私は、 Scheme (R6RS) で同様のことをしようとするとどうなるか考えてみた。

(import (rnrs))

(define-syntax make-fizzbuzz-string
  (lambda(ctx)
    (syntax-case ctx ()
      ((_ n)
       (integer? (syntax->datum #'n))
       (call-with-string-output-port
         (lambda(port)
           (do ((i 1 (+ i 1)))
               ((< (syntax->datum #'n) i))
             (display
              (cond
               ((zero? (mod i 15)) "fizzbuzz")
               ((zero? (mod i 5))  "buzz")
               ((zero? (mod i 3))  "fizz")
               (else i))
              port)
             (newline port))))))))

(define (fizzbuzz)
  (display (make-fizzbuzz-string 100)))

(fizzbuzz)

Guile で逆アセンブルするとこうなる。 (当初は Chez Scheme を使おうとしたのだが、逆アセンブル機能が提供されていなかった。)

0    (assert-nargs-ee/locals 0)      ;; 0 args, 0 locals
2    (toplevel-ref 1)                ;; #<procedure display (object #:optional port)>
4    (object-ref 2)                  ;; "1\n2\nfizz\n4\nbuzz\nfizz\n7\n8\nfizz\nbuzz\n11\nfizz\n13\n14\nfizzbuzz\n16\n17\nfizz\n19\nbuzz\nfizz\n22\n23\nfizz\nbuzz\n26\nfizz\n28\n29\nfizzbuzz\n31\n32\nfizz\n34\nbuzz\nfizz\n37\n38\nfizz\nbuzz\n41\nfizz\n43\n44\nfizzbuzz\n46\n47\nfizz\n49\nbuzz\nfizz\n52\n53\nfizz\nbuzz\n56\nfizz\n58\n59\nfizzbuzz\n61\n62\nfizz\n64\nbuzz\nfizz\n67\n68\nfizz\nbuzz\n71\nfizz\n73\n74\nfizzbuzz\n76\n77\nfizz\n79\nbuzz\nfizz\n82\n83\nfizz\nbuzz\n86\nfizz\n88\n89\nfizzbuzz\n91\n92\nfizz\n94\nbuzz\nfizz\n97\n98\nfizz\nbuzz\n" at /c/Users/saito/Documents/fast-fizzbuzz.scm:22:11
6    (tail-call 1)                                         at /c/Users/saito/Documents/fast-fizzbuzz.scm:22:2

構築済みの文字列を表示するだけになっていることがわかる。

Document ID: e2741c0cea07aa2fbddc630e30240a15

お潤い休み

私は香川県に生まれ育ち、両親もまたそうである。 父から聞いた話なのだが、父が子供の頃には雨の日の農業を休むことを「おーるい休み」と呼んでいたのだそうだ。 母は商業地の生まれなのでそれを知らなかった。 どういうわけかその日にはうどんを食べる習慣があって、父はそれを楽しみにしていたのだという。 休日に限らずうどんばっかり食ってるだろうに……、と突っ込んでおいた。

では「おーるい休み」とは何かというと、状況からして「お(うる)い休み」であろうと、それについてウェブ検索してみたのだが、驚くほど見付からない。 その言葉を使用している例すら見付からない。 かろうじてそれについて触れた郷土資料が存在するという情報だけが見付かった。

ウェブには大抵の情報があるような気がしていたが、そんなこともないという話である。 インターネットが普及する以前の情報は各地域の資料にあたらないとわからないことは多いのだ。 さらに言えば、地域情報にも限らない。 私はレトロなプログラミング言語 TL/1 について以前に調べたことがあるのだが、正確な情報はさっぱり見付からず、当時の雑誌を調べる必要があった。 コンピュータのことならインターネットに大抵の情報があるだろうと思っていたので、インターネットの限界を感じたのだ。

郷土資料を多数保管している図書館が資金不足で資料を破棄せざるを得ないという事例は少なくない。 その土地が積み重ねた歴史がそんなつまらない形で消えていくのは実に残念だと思うのだ。

Document ID: 40a36e534b22b12b8be7f5b3423e7f4e

縦書き ePub

ePub電子書籍フォーマットのひとつである。 私はウェブ上の文章を ePub 形式に変換して電子書籍端末 (Sony Reader) で読むということをよくやっている。 近頃の Windows ではデフォルトのウェブブラウザ (Microsoft Edge) が ePub に対応していて、特に指定しなければ拡張子が epub のファイルはこれで開かれるだろう。 その他、 Adobe Digital Edition というソフトが ePub を読むソフトとしてよく知られている。

ePubhtml5 の規格を基礎にしていて、文章そのものは xhtml5 形式で記述する。 CSS も利用可能だ。 そして縦書き文章にするときはその旨の指定を CSS 書くのだけれど、どうやら Microsoft EdgeAdobe Digital Edition とでは必要な指定が違うようなのだ。

色々といじって試した結果、両者できちんと縦書きにするには CSS に以下のような指定をすれば良いようだということがわかった。

html, body {
 writing-mode: vertical-rl;
 -epub-writing-mode: vertical-rl;
}

この他、ソフトによって極端に動作が重くなってしまうデータ構成なども過去に発見したことがあり、オープンスタンダードなフォーマットと言えどもソフトの都合に合わせる泥臭い作業が必要なのだという実態を感じた。

Document ID: f81a7565c777323b60f34e7f8fbeaa61

区切れ

ある日、母が新聞を見ながら「これがどうしても理解できん。 日本語として成り立ってないようにしか思えん」と言って示したのはテレビ番組表であった。 具体的には 2017 年 7 月 5 日の朝日新聞香川版のテレビ番組表、 OHK テレビの 7 時から 9 時の番組の箇所である。

おじゃMAP‼ 復活
結婚式企画2時間SP
「私、幸せになっても
いいのでしょうか?」
幼い子残し他界した夫
妻の再出発…結婚式を
香取ザキヤマが初司会
&プロデュースで感涙
▽意外と知られてない
穴場⁉香港ディズニー
3万円台で行けちゃう
衝撃のツアー‼◇N天

母は「他界した夫妻が再出発ってどういうこと?」と頭をひねっていた。 もちろんこれは読点を入れれば何の疑問もなく解釈できる。 「他界した夫、妻の再出発」である。

番組表は書ける文字数が少ないせいか無理に詰め込む傾向があり、ときにはこういったことが起こる。 興味深い事例であった。

Document ID: 2f2080a84d17e1d6f8f20a0f6a4fd862

こんな夢をみた「太鼓折半」

こんな夢を見た。 私は辞書をひいていた。 「太鼓(たいこ)折半(せっぱん)」という語を調べようとしていた。

そして見付けた項目には「ひとつひとつは不幸な事例が重なって結果的に利益を得ること」とあった。

目が覚めてから調べてみたが、実際にはそんな言葉は存在しなかった。

私の夢に現れたからには私の脳で生み出された言葉なのだろう。 どういうメカニズムでこういう造語が、しかも合成元の言葉 (太鼓と折半) から全く想像できないような意味で作り出されるのか興味深いことだ。

Document ID: b05792fb9115aad482b40443f5415625

型を隠せるか

C++ ではクラス定義時に private としたメンバには外からはアクセスできない。 そのメンバへの参照やポインタを作って外へ漏らしたりしない限りあくまで内部的なデータである。 (メモリレイアウトを知っていれば無理矢理にアクセスすることは出来なくもないが、それは言語の範囲外の話ということでとりあえず置く。)

そして型についてもまたクラスの private 要素として定義することが出来る。 たとえば

#include <iostream>

class foo {
private:
  class bar {};
public:
  static bar make_bar(void) {
    return bar();
  }
  static void print_bar(bar) {
    std::cout << "bar" << std::endl;
  }
};

という定義を作ったときは foo::bar という型を隠したいという意図がある。 foo::bar という型に外からアクセスできないのだから、 foo::bar 型の変数を foo の外で作ることは出来ない。 foo::make_bar が返した値は捨てるか foo::print_bar が受け取る以外の使い方は出来ない。 …… C++03 までは。

C++11 以降では autodecltypeprivate な型も使える。

int main(void) {
  foo::make_bar(); // OK
  foo::print_bar(foo::make_bar()); // OK
  foo::bar x = foo::make_bar(); // foo::bar は private なのでエラー
  auto x = foo::make_bar(); // C++11 からは auto が使える
  decltype(foo::make_bar()) y = foo::make_bar(); // C++11 からは decltype が使える

  return 0;
}

autodecltype を通じてでも foo::bar という型を外で利用できなくする方法というのはあるだろうか?

Document ID: 10255bcb2ece0cf1d51420c8189eb2a2

Scheme でローカル定数

Common Lisp でローカルな定数を導入する構文を作ろうとする記事を読んだ。

Common Lispでローカル定数の構文 — #:g1

私は以前に似たようなことをやっていたことを思い出した。

以前に作ったマクロ define-constant は最終的に define に展開されるので、そのまま internal define に使っても機能はするのだが、あらためて let 系の形式でローカル定数を定義するマクロを書いてみることにした。

#!r6rs
(import (rnrs))

(define-syntax let-constant
  (lambda(stx)
    (syntax-case stx ()
      ((k ((var form) ...) body body* ...)
       (with-syntax
           (((t ...) (generate-temporaries #'(var ...))))
         #'(let ((t form) ...)
             (let-syntax
                 ((var
                   (make-variable-transformer
                    (lambda(stx2)
                      (syntax-case stx2 ()
                        ((set! v _)
                         (syntax-violation 'set!
                                           "attempt to assign constant"
                                           stx2
                                           #'v))
                        (_ #'t))))) ...)
               body body* ...)))))))

(let-constant ((x 1))
  ;;(set! x 2) ;; ← もし set! を試みたらエラーになる
  (display x)))

例として書いた定数 x は識別子マクロで、展開後には隠れた変数に置き換えられる。 識別子マクロは set! で代入されるときの展開形を特別に定義することも出来て、ここではそういう形になっているときは syntax-violation を使って構文エラーになるように定義した。

Document ID: d5f61355b4e55961f2af8517178d2c53